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共鳴から生まれた
ネーミングライツ契約

「チームラボ バイオヴォルテックス 京都 - 大成建設」の設計・施工に携わる中で、常識を超えた体験を創出するチームラボの理念に深く共感し、その芸術性を基調に、ともに新たな価値を創造していく取り組みの一環として締結した。アートの感性と高度な設備技術が互いを高め合うことで京都に誕生した新たな価値は、大成建設が社会へ提示するステートメントであり、これまでの文化支援の系譜に連なるものだ。

大成建設はこれまでも、ル・コルビュジエ作品の展示活動や女流棋戦「大成建設杯 清麗戦」の主催を通じ、文化・芸術に触れる場を提供してきた。
「2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)」への参画もその延長線上にある。多様な人々が創造性に触れる場を広げ、次世代へ夢と希望をつなぐ環境づくりを、これからも続けていく。

TAISEI CEO

TAISEI CORPORATION

社長 メッセージ

相川 善郎

「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」にメインパートナーとして参画でき光栄です。「地図に残る仕事。」私たちはこの言葉に、建築やインフラをつくることはもとより、その先にある人々の暮らしや未来に役立ち、価値を残すという思いを込めています。チームラボが生み出すテクノロジーと創造性が融合した空間体験は、建築に新たな意味と生命力を与えてくれるものであり、「地図に残る仕事。」と響き合うものだと感じております。本契約を通じて、文化・芸術活動の支援はもとより、そこから得られる創造性や新たな視座を企業活動に生かし、持続的な成長と企業価値の向上を図ってまいります。両者の強みを掛け合わせることで、この場所が訪れる人々、特に社会を担う若い世代の記憶にも刻まれ、新たな着想に出会うきっかけとなることを期待しております。
そして、地域や社会の未来へつながる価値を生み出す拠点となることを願っております。

teamLab Founder

teamLab

代表 メッセージ

猪子 寿之

このたび「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」に大成建設株式会社をメインパートナーとしてお迎えできることに感謝します。
私たちは、人々が空間に身を置き、人々や環境とともに変化する作品をつくってきました。作品は人々、空間、環境と切り離せないのです。建設はその体験の土台を形にする仕事であり、大成建設の技術と現場力が加わることで、常識の枠を越えた場を作っていけると考えています。
創造性は異なる専門性が交わり、試行錯誤の中で前提が揺らぐときに立ち上がるものだと考えており、空間をつくるプロフェッショナルとともに、建築、空間、環境、人々が一体となって連動していくような、新しい次元の「場」を創造できることに大きな可能性を感じています。

Archive Movie / 特別対談映像

スペシャル対談

建設の未来、
アートの可能性

プロジェクト始動時に実施された両社代表に
よるダイアログ。
どのようにして、この巨大な「生命の渦」を
具現化する構想が生まれたのか、
その核心に迫るアーカイブ映像です。

浮遊画像1(一番下)浮遊画像2(真ん中)浮遊画像3(一番上)

SOCIAL CONTENT

ミュージアム
潜入レポート

二コラモデルによるスペシャル動画

INTERVIEW

設計社員・施工社員
インタビュー

体験を支える「見えない仕事」

関西支店 作業所長
山浦 恵介

関西支店  工事課長
本田 勝敏

関西支店 設備主任
岩澤 勇佑

関西支店 設計部
木谷 宇

関西支店 設計部
佐藤 凌

現 設計本部専門デザイン部
インテリアデザイン室
旧 関西支店 設計部
番匠 真美

関西支店 設計部
吉井 麻弥(本人:写真左)

関西支店 作業所長
山浦 恵介

1. 最初に「これは通常の設計施工とは違う」と感じた瞬間は?

地域の公園愛護協力会の副会長を務めることになったときです。本事業は行政の土地活用に関わる公募事業であり、工事段階から地域活性化に対する当社への期待が非常に高いと感じました。
施工者として、できることには作業所一丸となって協力しようと考えました。
施工だけでなく、地域とともに事業を進める責任を強く意識した瞬間でもありました。

2. 施工の立場として最も大切にしていた共通認識や合言葉は?

発注者・設計者・施工者・別途工事業者の有志でマラソンに参加したことが象徴的でした。
ランナーだけでなく応援団を含めて一体となることで、チームの団結力と絆が深まったと感じています。
立場は違っても、目指すゴールは一つであることを改めて実感しました。
この経験は、その後、後述の「バトンをつなぐ施工」にも大きく寄与したと感じています。

3. 作品や思想を理解するために意識的に行ってきたことは?

プライベートで、着工前に豊洲の「チームラボプラネッツ TOKYO DMM.com」、竣工前に麻布台の「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」を訪れました。
実際にその空間を体感することで、施工中の建物が目指す最終形をより具体的にイメージすることができました。

4. あえて前に出なかった、出さなかった判断・エピソード・ポイントは?

躯体を早期に構築し、次工程が多い部屋から天井裏の設備工事を完了させ、速やかに別途工事業者へ引き渡しました。
別途工事業者も迅速に内装工事を進め、大成の防災設備工事へとバトンを渡してくれました。
発注者・当社・別途工事業者によって、ミルフィーユのように工程が重なり合う中で、「自分たちだけの都合」ではなく「次工程の立場」を意識した工程調整を行うことを大切にしました。

5. 注目していただきたいポイント、エピソードは?

北面庇上部の藍色壁は、顆粒状の墨を混ぜ込んだ材料を使用した左官仕上げの壁です。
同じ職人が作業しても、コテのわずかな力加減やその日の気象条件によって、隣り合う面との風合いが変わり、発注者から何度も指摘を受け塗り直しを重ねました。
施工者としては手強い材料でしたが、苦労した分、印象的な仕上がりになったと思います。

関西支店  工事課長
本田 勝敏

1. 最初に「これは通常の設計施工とは違う」と感じた瞬間は?

閑静な住宅地の中で大規模工事を行うにあたり、施工による周辺地域への影響を少しでも抑えられるよう、車両動線を踏まえたゲート位置の検討や、節目ごとに丁寧な工事説明を心掛けました。
そうした積み重ねを通じて、徐々に近隣の皆様に理解をいただけるようになりました。
完成後も、近隣の皆様に受け入れられる建物を地図に残したいという思いで取り組みました。

2. 施工の立場として最も大切にしていた共通認識や合言葉は?

細部にこだわった意匠設計であったので、チームラボさんにはモックアップや試験施工を幾度も確認いただき、十分に認識をすり合わせたうえで実施工に臨みました。
その結果、求められる仕上がりを実現できたと思います。

3. あえて前に出なかった、出さなかった判断・エピソード・ポイントは?

アート作品は床・壁の素材が特殊で、プロジェクターを使用するものが多いので、内装業者から、床や壁が平らになっていなかったり、倒れていたりなどの精度については厳しい要求がありました。
作品体験の質を損なわないよう、そうした精度管理には特に注力しました。

4. 注目していただきたいポイント、エピソードは?

外部軒天井から続く、エントランスの勾配天井は木毛セメント板に黒塗装を施した、設計チームこだわりの仕上げです。施工面でも難易度が高く、印象に残っています。
また、1階の外壁タイルはシール目地を目立たなくして、連続性を持たせるため、下地の割付から入念な検討を行いました。

加えて、青みの強い意匠性塗材についても、塗継ぎなく1枚の平面として見せたいというチームラボさんの思いが強く、何度も塗り直しを重ねて仕上げた部位で、思い入れが強いです。

関西支店 設備主任
岩澤 勇佑

1. 最初に「これは通常の設計施工とは違う」と感じた瞬間は?

工事着工当初、施主であるチームラボから、建築や設備に対する要望を直接伺ったときです。

チームラボのアート作品は、映像や光を鑑賞するだけのものではありません。
来館者が空間の中を歩き、動き、触れることで作品そのものが変化していく、体験型のアートです。
一般的な美術館とは異なり、来館者は単なる鑑賞者ではなく、空間の中で作品の一部として関わります。

そのためチームラボから最初に示された要望の一つが、「来館者がアート体験に没入するために、建築や設備の存在を感じさせないこと」でした。

展示空間では光や描かれた絵が空間全体に広がります。
その中で設備機器の存在感や機器音、空調の気流などが強く感じられると、来館者の体験に影響してしまう可能性があります。
つまり設備は確実に機能していなければならない一方で、体験の中では存在していないかのように振る舞う必要があります。

さらに展示機器には大量のプロジェクターやコンピューターが使用されるため、一般的な美術館と比べて特別な環境条件を満たす必要があります。
そのため設備としては、
“大きな冷房能力を確保する”、“安定した温湿度環境を維持する”、“機器のメンテナンス性を確保する”といった条件も同時に満たす必要がありました。

こうした要望を聞いたとき、このプロジェクトは単にアートを収める“箱”をつくるのではなく、アート作品そのものを支える“環境”をつくる仕事なのだと感じました。

そのため、従来の経験や設備の論理だけで判断するのではなく、
どのようなアート作品がこの空間に存在し、来館者がどのように感じ、どのように体験するかという視点を常に意識しながら、プロジェクトに臨みました。

2. 施工の立場として最も大切にしていた共通認識や合言葉は?

明確な合言葉があったわけではありませんが、「アート作品を最優先に考える」という共通認識は、設計・施工の中で根付いていたと思います。

作品・建築・設備のそれぞれの分野には異なる役割がありますが、最終的な判断基準は常に「アート作品が成立するかどうか」でした。
施主であるチームラボ、展示施工を担当する別途工事業者、設計者、施工者がこの考え方を共有していたことで、多くの関係者が関わる複雑なプロジェクトであっても、
同じ方向を向いて議論し続けることができたと感じています。
そして、アート作品を成立させるために、作品・建築・設備それぞれの役割の最適解を全員で考え抜くことができたのは、この共通認識が自然に浸透していたからだと思います。

その結果として、アート作品そのものが空間の主役として成立するミュージアムが完成したのだと考えています。

3. 作品や思想を理解するために意識的に行ってきたことは?

設計・施工チームとしても、まずは作品がどのような体験を生み出すのかを理解することが重要だと考えていました。

しかし私たちはチームラボの生み出すアート作品については知識も経験も十分ではありませんでした。
そのため、プロジェクトの初期段階から、チームラボや作品を展示するための施工を担当する別途工事業者と密にコミュニケーションを取りながら、作品のコンセプトや展示の成立条件について何度も意見交換を行いました。

作品・建築・設備の条件は密接に関係しています。
そのため、どこか一つの分野だけで判断するのではなく、常に「この空間でどのような体験が生まれるのか」という視点を共有することを大切にしていました。

具体的な取り組みの一つが、3Dモデルを用いた検討です。
図面だけでは分かりにくい空間の見え方や設備の納まりを立体的に確認しながら調整を進めました。
設備機器の位置や形状、空調の吹き出し位置など、わずかな違いでも体験に影響する可能性があります。チームラボや別途工事業者とともに情報共有しながら、展示・建築・設備それぞれの視点で課題を検討していきました。

こうした対話の積み重ねにより、
設計・施工チームとしても「どのようなアート体験を成立させたいのか」という思想を理解しながらプロジェクトに取り組むことができたと感じています。

4. あえて前に出なかった、出さなかった判断・エピソード・ポイントは?

設計・施工の立場では、機能や安全性を確保しながらも、建築や設備の存在が来館者の体験を妨げないようにする判断を数多く行いました。

最も大きな課題の一つは、内部発熱への対応でした。

このミュージアムでは、光を用いたアート作品を成立させるために多くのプロジェクターやコンピューターが使用されているため、展示空間では、一般的な事務室や展示室と比較すると、高い空調能力が求められました。

こうした条件の中で、アート体験を阻害しない温湿度環境と、展示機器が安定して稼働する環境の両方を成立させるため、空調容量の設定には非常に慎重な検討が必要でした。
その結果、室内機やダクトの大型化、それに伴うメンテナンス方法の複雑化など、設備設計・施工の両面で通常の美術館とは異なる対応が求められました。

しかしその一方で、設備の存在を感じさせないことも重要でした。
そのため、設計・施工の立場からは、設備性能やメンテナンスの観点からの提案を行いながら、チームラボや別途工事業者からはアート作品や展示条件に関する情報を共有していただき、密な調整を重ねました。

こうした協働によって、来館者が建築や設備を意識することなくアートに没入できているのであれば、それが設計・施工として大きな成果だと考えています。

5. 注目していただきたいポイント、エピソードは?

ぜひ注目していただきたいのは、このミュージアムが 「完成形を持たない建築」として計画されている点です。

チームラボの作品は時間とともに更新され、新しい表現が生まれていきます。そのため、この建物も、現在の展示だけを支えるミュージアムではなく、将来の作品や体験の変化に対応できるインフラとして計画されています。

例えば電気設備では、将来的な展示拡張を見据えて受変電設備や幹線ルートに余力を持たせています。
空調設備も、展示更新に柔軟に対応できるようアートゾーンごとに系統分けを行い、将来機器を設置できるスペースも確保しています。

つまりこの建物は、「今の作品のためだけの建築」ではなく、これから生まれるアート体験も支え続ける建築です。

来館者の方々には、ぜひ現在の作品だけでなく、この場所が時間とともにどのように進化していくのかにも思いを巡らせながら体験していただければ嬉しいです。

関西支店 設計部
木谷 宇

1. 最初に「これは通常の設計施工とは違う」と感じた瞬間は?

「これは普通の建築ではない」と感じた瞬間
計画を初めて見たとき、強く印象に残っていることがあります。
それは「この規模の美術館で設備計画?」という驚きでした。
どのくらいの電力を使用するのか。
アート機材はどれほど同時に稼働するのか。
デジタルテクノロジーを活用したアートという分野自体がまだ新しく、当時は設計の知見も多くありません。
説明を受けても、具体的な空間をなかなかイメージできませんでした。

転機となったのは、東京の既存ミュージアムを見学したときです。
広大な空間の現し天井には、設備機器やダクトが張り巡らされ、その下では数多くのプロジェクターやセンサーが作品を支えていました。
その光景を目にしたとき、「これは自社内の設計調整だけで完結する建築ではない」
と直感しました。
このプロジェクトは、アーティスト、運営者、設計者、施工者など、多くの関係者が連携してはじめて成立する建築だと感じた瞬間でした。

2. 施工の立場として最も大切にしていた共通認識や合言葉は?

プロジェクトを支えた「自由に話せる関係・One Team」
このプロジェクトでは、非常に多くの関係者と日々打合せを重ねてきました。
その中で私たちが大切にしていたのは、日常的なコミュニケーションです。
「自分たちの責任範囲だけを確実に施工すればよい」という考え方では、建物は完成しません。
アートを成立させるためには、全員が自由に意見を出し合い、互いを尊重しながら進めていくことが不可欠でした。

誰でも率直に意見を出せる環境づくりを意識した結果、関係者全員が協力し合う体制(One Team)が生まれ、大きな手戻りもほとんどない、非常に健全なプロジェクトになったと感じています。

3. 作品や思想を理解するために意識的に行ってきたことは?

作品を理解するため、昼から深夜まで現地調査
チームラボの作品は、建築とアートが密接に関係しています。
そのため設計チームとしても、作品そのものを理解することが欠かせませんでした。
既存ミュージアムでは、閉館後から深夜にかけて現地調査を行い、作品空間の細部まで確認しました。

さらにプライベートでもミュージアムを訪れ、一人の来館者として体験することも大切にしました。
来館者として感じる純粋な感動と、設計者として空間を見る視点。
その両方を持ちながら、このミュージアムの空間づくりに取り組んでいきました。

4. あえて前に出なかった、出さなかった判断・エピソード・ポイントは?

建築は「あえて目立たない」
ミュージアムで最も重要なのは、来館者が体験するアートです。
そのため建築設備は、できる限り存在感を抑えることを意識しました。
アート空間には不要なものを極力置かず、やむを得ない防災設備のみを設置。
現し天井内や視界に入る設備機器の塗装を工夫することで存在感を抑えています。

また、スピーカーや、誘導灯の、設備が視界に入りにくい工夫を行いました。

さらに、プロジェクター映像が投影される壁面では、わずかな凹凸でも映像の歪みや影の原因になります。
そのため器具が、壁面と完全にフラットになるようミリ単位の施工精度で調整しました。

5. 注目していただきたいポイント、エピソードは?

敷地へ足を踏み入れた瞬間から始まる体験
来館者の体験は、アート空間に入る前から始まっています。
外部のアプローチからエントランスを経由しアート空間へ至るまでは、奥へ進むにつれて徐々に暗くなるよう計画しました。
これにより、真っ暗なアート空間へ違和感なく誘導されます。

また、エントランスのガラスファサードには、外構植栽をライトアップした光が映り込みます。
これは夕方以降にだけ現れる、**ちょっとした「隠れアート」**のような演出です。

関西支店 設計部
佐藤 凌

1. 最初に「これは通常の設計施工とは違う」と感じた瞬間は?

「”体験”を創る」
私は実ミュージアム計終盤からこのプロジェクトに参画しましたが、設計チーム内の引継ぎ段階で、当社にとって、社会にとって非常に重要なプロジェクトだと確信しました。
チームラボのミュージアムは当時すでに国内外に展開していましたが、京都のミュージアムは「単独」「常設」「国内最大」ということで、身が引き締まる思いでした。

通常の設計施工は建築の竣工がゴールと捉えることもありますが、このプロジェクトにはゴールはありません。
”体験”を創り、その体験が刻々と変化する。訪れるたびに体験が変わる。
これを前提に建築としてどういう姿を目指すべきか。最初に感じたというよりは、常に考えを巡らせながら関わらせていただきました。

2. 施工の立場として最も大切にしていた共通認識や合言葉は?

「”One Team”で創る」
施工図・製作図等の承認行為を行う際は、どんなに些細な項目でも、各作品の仕上がりに影響があり、将来のアート変更を見据えた設えとする必要があるため、必ずチームラボや関係各社の確認をとって進めました。
施工チームにもこの共通認識があったので、詳細な変更でもまずは共有、という流れができていたのはこのプロジェクトが成功したひとつの理由だと思っています。

また、内装工事・アート実装工事・厨房工事・植栽工事等の各業者との調整も多岐に渡りましたが、「工事区分があるからここまでしかできない」ではなく、「工事区分があるからお互いに技術・知恵を絞って最適解が導ける」という意識で進められたことも、”One Team”でひとつの作品を創るプロセスとして重要だったと実感しています。

3. 作品や思想を理解するために意識的に行ってきたことは?

「”コミュニケーションの量と質”で関係性を創る」
このプロジェクトの計画地は京都ですが、関係者には遠方の方も多く、打合せはリモート会議がメインとなっていました。
昨今はどんなプロジェクトでも一般的なツールになっていると思います。

しかし、工事が進んでいくと、現地や実物の材料を見ながら意思決定をしていかないと判断を見誤ることになります。専門家集団でも言葉の捉え方や認識が少しずつ異なっているからです。
その”ズレ”をひとつでも解消するため、とにかく現場に赴いて対話することを大切にしていました。

正直、何回現場で打合せしたか本当に数え切れません(笑)。
もちろん大変な面もありましたが意思疎通の早さは圧倒的で、言葉ではなく、図面・BIM・モノで語ることが重要だと改めて実感しました。

4. あえて前に出なかった、出さなかった判断・エピソード・ポイントは?

「デザインしないデザイン」
建築を設計する際、要素ひとつひとつに機能や意味、合理性を持たせてデザインすることが基本となりますが、このプロジェクトではそれが純粋な”作品”としての在り方を邪魔してしまうことになりかねません。
あくまで作品を通した”体験”が主役、建築はその背景になるという、「デザインしないデザイン」が重要でした。

この意味は実際に足を運んでいただいて感じてもらえれば嬉しいです。
来館された方に、体験の前後で世界の見え方が変わる感覚を味わってもらえれば、建築設計者としても大成功!だと思います。

5. 注目していただきたいポイント、エピソードは?

「デジタル」⇔「人間の力」
チームラボと聞くと「デジタル」や「最新技術」といったイメージが強いと思いますが、このプロジェクトは「人間の力」によって実現しました。
仕事上のコミュニケーションだけではなく、みんなでマラソンに参加したり、深夜に行列に並んでラーメンを食べたり、かけがえのない仲間ができたと感じています。
職人さんのセンスや技術も随所に光っていますので、是非味わっていただきたいです。

最後になりますが、プロジェクトメンバーはもちろん、行政の方々、近隣の方々含め大変多くの皆様に多大なご協力を頂きました。この場を借りて感謝申し上げます。

現 設計本部専門デザイン部
インテリアデザイン室
旧 関西支店 設計部
番匠 真美

1. 最初に「これは通常の設計施工とは違う」と感じた瞬間は?

私にとってこのプロジェクトは、初めて新築プロジェクトに携わった案件でした。
経験も知識も十分とは言えない中で、日々検討や打合せを繰り返しながら、ただ懸命にプロジェクトについていくことに必死だった、というのが正直なところです。

2. 施工の立場として最も大切にしていた共通認識や合言葉は?

関係者が多いプロジェクトということもあり、打合せの回数も非常に多かった印象があります。
設計者として図面を取りまとめる立場であったため、打合せの中で生じた調整事項については、記憶が新しいうちにゲラを作成し、速やかに図面へ反映することを心がけていました。
その積み重ねを行うことで、関係者間の認識のズレを最小限に抑えることを心がけていました。

3. 作品や思想を理解するために意識的に行ってきたことは?

“デザインしないデザイン”を行うということを常に意識して計画を行いました。
あくまでもアート体験が主役である建物に対し、チームラボの「境界のない」「環境と連続する」といった考え方を、直接的なデザインとして建物に表現するのではなく、素材の持つ個性やディテール、空間体験として落とし込むことを意識的に行いました。

4. あえて前に出なかった、出さなかった判断・エピソード・ポイントは?

設問3とも重なりますが、建築の意匠を前に出すぎないことは、設計を通して常に意識していました。
例えば、素材の表情やディテールについても、「建築として美しいか」だけではなく、「作品や来館者の体験を妨げないか」ということを常に意識していました。

京都ということもあり、景観面で配慮すべき条件は多くありましたが、「景観上できない」と結論づけてしまうのではなく、どうすれば実現できるのかを考え続けました。
メーカーや工場へ足を運び、試行錯誤を重ねたことで、結果として目指していた表現を形にできたと感じています。

制約と表現の間でバランスをとる難しさはありましたが、その過程そのものにこのプロジェクトならではの面白さがあったと思います。

5. 注目していただきたいポイント、エピソードは?

プロジェクト関係者との“連続するつながり”です。

昨年、そして今年と、プロジェクトのメンバーでマラソンに参加し、いつしかそれが毎年の恒例行事になりつつあります。
当時直接担当していた方々に限らず、当時は関わりのなかった運営の方々とも交流が続いていく。
その広がりと連続こそが、このプロジェクトならではの魅力だと感じています。

関西支店 設計部
吉井 麻弥(本人:写真左)

1. 最初に「これは通常の設計施工とは違う」と感じた瞬間は?

各作品のご説明と、既存ミュージアムのバックヤードを見学させていただいたとき、チームラボさんの試作品を拝見させていただいたとき。
もともとチームラボさんの作品が好きだったのでプロジェクトに関われると知った時はわくわくする体験づくりの一端を担えることがとても嬉しかったです。

チームラボ バイオヴォルテックス 京都 - 大成建設で計画されている作品の内容とそのために求められる建築の要件についてご説明を受けた際に、新しい作品についてもお話しがありました。
これからつくろうとされている作品は体験したことが無い空間であったりして常に新しいことをかたちにされようとしている姿勢に感銘を受けました。

その後既存の運用中のミュージアムのバックヤードや試作品を見せていただく中で、新しいミュージアムではこんな風に建築を用意しておくと将来的に維持していく上でも更新していく上でもよりよくなるというイメージが具体的に湧きました。
通常は人が滞在する空間に重きを置いて設計を進めますが、今回は人の滞在空間はもとより、作品を支える仕組みの部分やその運用のための空間づくりもそれと同様に重要でした。

2. 作品や思想を理解するために意識的に行ってきたことは?

外観の設計を進めている中で、チームラボアーキテクツさんの“外観がアートになってはならない、建築をデザインしてはならない”と言う旨のコメントが印象に残っており、大切にしてきました。

チームラボさんのアート体験が主役なので、建築がそれ以上に目だたないことは重要だと考えていましたが、拘らないことがデザインしないことではありませんし、デザインしたように見せない為のデザイン・設計が必要であり、それを実現するために施工上も難しい納まりにトライしてもらったところもあります。

都市に実在し、長く残る以上、建物を設計する際には『新鮮さ』は必要ですが『奇抜さ』にならないようにと常に考えているので、通ずる想いを感じました。
数十年前からそこにあって大切にされてきたものは数十年後も大切にされると思います。

チームラボ バイオヴォルテックス 京都 - 大成建設も建物としての新鮮さは感じていただけると思いますが、以前からそこにあってもおかしくない存在と感じていただけるものになっていると思うので、チームラボさんと我々が目指していたものが完成したと思っています。

teamLab Architects' Vision

チームラボアーキテクツ
建築への想い

「チームラボ バイオヴォルテックス 京都 - 大成建設」の建築コンセプト

敷地は豊かな緑の山々に囲まれた京都。
再開発が進む京都駅南区に位置する公園と住宅に囲まれた今回の敷地において、南北を繋げる象徴となり、人々に快適さと周辺環境との調和をもたらしながら、自然、歴史、都市、人間、作品すべてが境界なくつながる世界を目指した。

teamLab Architects' Vision

チームラボアーキテクツ
建築への想い

「チームラボ バイオヴォルテックス 京都 - 大成建設」の建築コンセプト

敷地は豊かな緑の山々に囲まれた京都。
再開発が進む京都駅南区に位置する公園と住宅に囲まれた今回の敷地において、南北を繋げる象徴となり、人々に快適さと周辺環境との調和をもたらしながら、自然、歴史、都市、人間、作品すべてが境界なくつながる世界を目指した。

動線に沿って深いひさしと植栽を配置し、南北をつなげ、静寂を生み出す。静寂は内部の作品空間における動的な空間を引き立てる。ひさしの下の壁には藍色のタイルを施し、微妙に異なる色の光の揺らぎが内部の作品体験との境界をなくす。
ひさし先端に雨樋をつけず雨の日には雨粒の簾が現れる。雨粒は内部の作品でもモチーフとなっており、自然現象と作品体験がつながる。
すべては敷地に足を踏み入れた瞬間から、ミュージアムの体験がすでに始まっている。

外観を俯瞰してみると、灰色の箱と勾配屋根のかかる藍色の左官壁をもつ箱という異なる二つを共存させ、歴史ある街並みと新しいものが共存する京都らしい象徴性が見える。しかし、来訪者がその全貌を意識する場面はほとんどない。来訪者にとっていちばん重要なことは作品体験である。建築の役割は作品を体験するまえの心を作り上げることであり、ときには、外観が記憶に残りすぎることは体験の妨げにもなる。

来訪者は、京都らしい細い道を抜け、庇に守られた通路を進む。そこから外と内が連続する、“暗がり”をテーマとしたロビー空間を経て、作品世界へと没入する。帰路も再び庇をくぐり、静かに都市へと還る。その過程で、記憶に刻まれるのは建物の姿ではなく、体験そのものである。
この館は、都市にとっては「共存の象徴」であり、体験者にとっては体験のみが印象として残る。
館は地域とつながり、象徴と体験の共存が京都と作品世界をつなげる新たな価値の拠点をつくりあげる。

タイル
タイル

釡で火で焼いてできるタイルは6万枚すべて色が微妙に異なる。タイルは釡で火で焼く製造上、色がすべて異なる。6万枚のタイル。すべて微妙に違う色。これも自然の一部として現象によりできた色。色の違うタイルは壁に立体感をあたえ、通路の圧迫感を軽減する。

左官の壁
左官の壁

藍色に墨がランダムに混じった壁。
勾配屋根がかかる箱の上部と車で来場される人が歩く通路の壁は左官の壁である。左官の壁は藍色の中に黒い影が見える。この黒い影は藍色の左官材に潰れて墨がでる玉を混ぜ、コテでおす力の加減で墨の強弱が混じった左官壁ができる手法を用いた。京都の街並みと馴染みつつ、大きな壁が単調にならない工夫とした。

エントランスロビー
エントランスロビー

ロビーはガラスできた壁で、外通路を挟み森と接する。ガラスにはフィルムを貼り、昼は外通路からみるとガラス壁はミラーになりロビーはみえず、ミラーになった壁に敷地にある森が映り込み、外通路は森に囲まれたように感じる。
逆にロビーから外を見るとガラスは透明で外とロビーがつながり、空間は広く感じ、森が見える。

植栽
植栽

多様な植物を高密度に植えた森
植栽は同じ植物を極力植えず、多種多様な植物を通常よりも高密度に混植している。長い年月を経て形成された西日本の自然林のように、多様な植物が重なり合い、空が見えないほどに生い茂る森である。管理のしやすさを優先した都市の均質な植栽ではなく、植物本来の力強さが漲る高密度な森を目指した。下草も含め、そこには四季折々の花々が咲く。
門口には、樹齢200年の江戸期から生きる京都の北山台杉と、同じく江戸期から生きていると伝わる古典園芸植物を配した。これらの植物をこの場所に存在させることで、京都という都市が積み重ねてきた長い歴史の時間軸へと接続させた。

屋根
屋根

雨粒が簾(すだれ)のように落ちる屋根
入場前の待ち時間を快適に過ごすため、
北側のメイン通路のひさしの出は3m。屋根には雨樋がついていない。雨が降ると雨粒が屋根からそのまま地面に落ちる。ひさしから落ちる雨粒もまた自然の美しさとして楽しめるようにしている。雨が地面に落ちる場所には黒のガラス石が敷き詰められている。この下で雨水の排水処理を行い、雨の水滴が通路側にはねないように配置している。

チームラボ バイオヴォルテックス 京都 - 大成建設。
この場所は、デジタルテクノロジーを活用したアートと物理的な建築空間が分かちがたく融合した、世界でも類を見ないミュージアムです。
大成建設は、設計から施工までを一貫して担当。アーティストの空想をミリ単位の精度で現実の構造物へと落とし込み、人々の感性を揺さぶる空間体験を創り上げました。